巷に溢れる「KPI」ですが、あなたはちゃんとした作り方、運用方法をご存じでしょうか?
私は知りませんでした。
この記事では、習ったことも習うこともないのに、今のビジネスでは必要とされている「KPI」の作り方、運用の仕方について解説します。
私は独学で作り運用していました。
結果、「なんちゃってKPI」なので、結果に結び付かないこともあり、結果が出るためにだいぶ遠回りしました。
そこで本屋での平積みされている『最高の結果を出すKPIマネジメント』(中尾隆一郎 著)で勉強しました。
この記事では、本から学んだ「KPIの作り方、運用の仕方」を紹介します。
当記事を読むことで、私みたいに無駄な遠回りや、不要な苦労をせずに、結果を出せることでしょう。
下記の図が「KPI」の作り方、運用の正しいステップです。このステップを説明していきます。
事前準備
- 「対象」「目的」「期間」を明確にして共有
「対象」「目的」「期間」を明確にしておくことで、関係者間での検討範囲を明確化。 - 「最終決裁者」「承認者」「事務局」を明確にして共有
「誰が最終的に決定するのか」
「誰が議論途中の承認をするのか」
「そして誰が事務局となって進めていくのか」
これらを関係者間で明確化。
「当たり前のことでしょ?」と思うかもしれませんが、当たり前と軽んじるため、これがズレていても気づかないということが多々あります。
これらを曖昧にしてしまうと、決めたのに何も前に進まず、無駄な工数や業務が増えてしまいます。
事前に明記することで、そんな事態を防ぎましょう。
KGIを確認する(1/10)
ビジネスにおける「KGI」の場合、既に事業計画が存在するはずです。事業計画を今一度、確認しましょう。
事業計画には、中長期のものと短期(=今期)のものなど複数ある場合があります。
その場合は、どちらを使用するのか最終決裁者に確認しましょう。
ギャップを確認する(2/10)
ギャップの確認とは、「KGI数値」と「現状のまま(成り行きで)「期間」が終了した場合のシミュレーション数値を比較し、その差(ギャップ)を「可視化」することです。
シミュレーションする場合、下記の2つの方法があります。
- 前期(同時期)数値を参考に特殊要因を加味する方法
「今期シミュレーション」=「前期数値」±「特殊要因」 - 今期の現場数値の予想をベースに検討する方法
「今期シミュレーション」=「確定数値」+「確実度を加味した予測数値」
これらの「前期数値を参考にする方法」と「今期の現場予想を参考にする方法」の2つを使用して、今期の数値をシミュレーションします。
そして、「今期のKGI」ー「今期シミュレーション数値」=ギャップを明確にします。
プロセスを確認する(3/10)
前項で確認した「ギャップ」をどのように埋めるかを考えるのが、このステップです。
現場が実際に実行できるのかを加味して検討することが重要です。
(絵に描いた餅にならない様にしましょう。この様な「KPI」が世間に溢れていますので。)
それを加味した上で、「ギャップ」を埋めていくプロセスを確認していきます。
例えば、「ギャップ」が売上の拡大であるならば、下記の様に売上のプロセスを細分化し、確認しましょう。
売上=顧客数×アポイント率×成約率×平均単価
プロセスの絞り込み(4/10)、「KPI」の設定(5/10)
前項で確認したプロセスの中から、最重要プロセスを選定し、数値に落とし込むステップです。
例えば、前項と同じく売上の例で考えた場合、「売上」は①「顧客数」、②「アポイント率」、③「成約率」、④「平均単価」のプロセスに細分化できます。
(【プロセスの細分化】売上=①顧客数×②アポイント率×③成約率×④平均単価)
このプロセスの中で、②「アポイント率」が一番効果があると考えるならば、「アポイント率」を増やすことが「最重要プロセス」になります。
その中で、「アポイント率」を「現状:30%」→「50%(現状+20%)」に増やすことができれば良いと設定します。
この「アポイント率を50%(現状+20%)にする」が「KPI」です。
運用性を確認する(6/10)
選定した「KPI」に対し、「整合性」「安定性」「単純性」の3つのポイントを確認します。
- 整合性
「KPI」を達成した際に「KGI」が達成するのか - 安定性
「KPI」の数値が安定的にリアルタイムに取得できるのか - 単純性
「KPI」の説明したときに関係者が理解できるほど単純か
対策を事前に検討しておく(7/10)
「KPI」数値が悪化した場合や、このままではKPIが達成しない場合にどうするかを、先に決めておくステップです。
数値が悪化してから対策を検討すると、たいてい時間がないので、選択肢の幅が狭まってしまいます。
しかし、時間がたくさんあるときに検討するなら、選べる選択肢もたくさんあり、投入する経営資源も少なくて済みます。
合意を得て(8/10)、運用(9/10)
関係者との合意を得るステップと、実際に運用していくステップです。
事前準備のステップで明確にした「最終決裁者」、「承認者」、「関係者」と「KPI」マネジメントの内容を確認し、合意を得たうえで運用していきます。
合意の内容は下記の2つです。
- 「KPI」を「この数値にする」という合意
運用を始める前に、関係する全員に「KPI」マネジメントを始めることの周知もここに含みます。 - リスク対策の合意(承認)
事前に、「どの時点で」、「どの程度」数値が悪化したとき、「何をするのか」という合意。
ここでも「対策を事前に検討しておく(7/10)」が活きてきます。
最終判断者は「最終決裁者」です。
これができると「KPI」の運用がスムーズになりますし、問題が発生した時でも、タイムリーにリスク対策が可能になります。
継続的に改善を繰り返す(10/10)
運用しながら、改善していくことが大切です。
つまり、「やったことはきちんと振り返り、次回に活かしましょう」というステップ。
結果は、下記4つの組み合わせが考えられます。
- 「KPI」達成→「KGI」達成
- 「KPI」達成→「KGI」未達成
- 「KPI」未達成→「KGI」達成
- 「KPI」未達成→「KGI」未達成
「1」「4」の様に、「KPI」と「KGI」が両方とも「達成」or「未達成」なら理解はしやすいです。
本来、このような相関であるべきです。
(両方が「未達成」の場合、本来は期中に対策が必要。)
しかし、「2」「3」の様に、「KPI」と「KGI」の「達成/未達成」がちぐはぐになっている場合、「KPI」と「KGI」の関係が構造的に間違っている可能性があります。
つまり、「KPI」と「KGI」の関係が希薄なのか、関係はあるけど「KPI」の目標水準が低いのか。
このようなことを振り返る必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
やることが沢山あって嫌になる方もいらっしゃると思います。
しかし、正しいステップに沿って、準備をすれば、闇雲の行き当たりばったりで行うより、結果は出ることでしょう。
またある程度、お仕事をされている方であれば、抜けはあるけど似たようなステップは実行していることでしょうから、その抜けている部分を埋めるだけでも改善になり、今より結果は出やすくなるでしょう。
是非、「KPI」の作り方、運用の正しいステップを、あなたのお仕事にも活かしてください。
『最高の結果を出すKPIマネジメント』中尾隆一郎(2018年/フォレスト出版)
参考文献⏬の本を読むことで、さらに理解を深めることができます。
最高の結果を出すKPIマネジメント【電子書籍】[ 中尾隆一郎 ] 価格:1760円 |
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