住宅ローンは自分で決めれる「内部要因」、自分では決めれない「外部要因」。すでに決定している「固定要因」、変化できる/変化する「変動要因」あります。
自分で「コントロールできるコト」と「コントロールできないコト」をしっかり見極めて住宅ローンの資金計画をシミュレーション・判断する必要があるのです。
この記事では、住宅ローンの資金計画・返済計画で考慮すべき「3つのインプット」「3つのアウトプット」を説明した上で、「3つの判断基準」について説明します。
具体的には、住宅ローンのシミュレーションは、「内部要因」かつ「固定要因」である「借入金額」「返済期間」を固定し、さまざまな「金利」を当てはめ、出てくるアウトプットに対して判断をしてくく、というサイクルを回します。
この読めば、住宅ローンの資金計画・返済計画の立て方を理解することができます。
この記事は、現役の公認会計士であり、「住宅ローンのブログ」で人気の千日太郎さんの著書を参考にしています。
『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』(千日太郎/著)(2020年/日本実業出版)
- 住宅ローンの資金計画・返済計画の立て方を理解できる
- 住宅ローン返済で「何を優先するのか」理解できる
3つの「インプット」(借入金額、返済年数、金利)
①「借入金額」:いくら借りるのか?(「内部要因」かつ「固定要因」)
借入金額=(物件価格)+(売買契約にかかる費用)+(住宅ローンにかかる費用)ー(自己資本)
上記の式になるため、借入金額を決定づける要素は、自分の欲しい物件と自己資金になります。
②「返済年数」:何年借りて何年目の完済を目指すのか?(「内部要因」かつ「固定要因」)
現役時代の収入に対して、老後の収入は半減するのが通常なため、現役時代の収入を前提にした住宅ローンは現役のうちに完済するようにしましょう。
しかし、契約期間は後から伸ばすことが難しいですが短縮するのは簡単なので、最長の35年にしましょう。
おすすめは「35年借りて、定年と同時の完済を目指す」。
③「金利」:適用金利は何パーセントか?(「外部要因」かつ「変動要因」)
住宅ローンの金利は金融機関が決定するため、自分で決めれる要素はほぼなし。また住宅ローンの金利は毎月変動しており、検討している時点で借りられるとは限らない心づもりが必要です。
3つの「アウトプット」(毎月の返済金額、定年時のローン残高、総支払額)
①毎月の返済額(元本+利息)
返済方法には「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」の2種類があります。
- 元利均等返済方式:毎回の返済額が同じ額になる返済方法
毎回の返済額が一定になり、返済計画が立てやすくなる一方、返済の前半は利息部分が多く元金部分が少ないため、元金の減り方が遅い。 - 元金均等返済方式:毎回支払う「元金」部分が均等になる返済方法
最初の返済額が一番多く、徐々に返済額が少なくなっていくため、元金部分の減るスピードが早く、トータルで利息の負担が少ない。
②定年時のローン残高(定年時までに繰上げ返済しなければならない額)
30代前半までに家を買う人は定年までに30年近くあり、ローン残高がほとんどゼロになるため、ほとんど気にしなくてOK。
しかしアラフォー以上から、住宅ローンをスタートする人は、「定年時の残高」に注意が必要。返済期間を長くすることで、毎月の返済は楽になりますが、その分、定年時のローン残高に皺寄せがきます。
そのため、毎月の返済に加えて、定年までに繰上げ返済をしなければならない金額というミッションが追加されます。
③総支払額(借入費用+毎月返済額×12ヶ月×定年までの年数+定年時のローン残高)
ここでのポイントは「定年までの返済額」と「定年時のローン残高」を合計することです。
簡易的なシミュレーションの場合、定年後も現役時代と同じ返済額でシミュレーションするため、実態を反映した数字になっていません。
3つの「判断基準」(資金繰り、借入費用、総支払額)
ここでのポイントは、「3つのインプット」「3つのアウトプット」で出てきた数字に対して、「何を判断するのか?」「何を優先するのか?」です。
①資金繰り(現役時代と老後、2つの持続性を確保する)
「資金繰り」の観点が最も重要です。住宅ローンの検討する99%は、この「資金繰り」です。これで大方のことが決定します。
シミュレーションの借入額が「今の自分の年齢と収入で無理なく返済できるのか?」を通じて、「今の自分の身」の丈に合った家なのかどうかを判断します。
また「資金繰り」によって金利タイプを決定します。
ここでのポイントは2つ。
- 毎月の返済額を無理のない金額に抑える
住宅ローンは返済できてこそ。最長35年なら420回ノーミス続けれることが重要です。そのため、「将来、収入が上がるはず」といった様な不確定な要素は排除しましょう。 - 毎月の返済額を払いながら、住宅ローン控除の13年で定年時のローン残高まで貯金を貯める
これが達成できれば、定年時に住宅ローンを完済する自信がつきます。この後は老後資金を貯める計画に移行します。
「住宅ローンを完済したとして、老後を生きられるのか?」の視点が重要です。この視点を持ち「住宅ローンの借入金と金利タイプ」を考慮し、自分自身で返済計画に盛り込む必要があります。
②借入費用
借入費用は「融資手数料型」「保証料型」の2つのタイプに分かれます。この2つは建前が違うだけで、「融資額の2%+α」を最初に払うことになります。
- 融資手数料型
融資の事務手数なので、払い切り。(期限前に全額繰上げ返済しても返金されない) - 保証料型
保証会社が銀行の住宅ローンの債権を保証する料金。(期限前に全額繰上げ返済した場合、残りの期限と減った元本に相当する金額を返金)
返金の取り扱いだけで判断すれば、「保証料型」の方がお得に見えますが、住宅ローンの適用金利は「融資手数料型」の方が低金利に設定されています。そのため、どちらかが絶対的に有利だと断定できません。
(ちなみに私が借りた住宅ローンだと13年で完済した場合、「保証料型」の方が有利になりましたが、私はそんなに早く完済できないので「融資手数料型」にしました。)
③総支払額(トータルでの損得勘定を行う)
ここでは「借入費用」「毎月返済額」「定年時のローン残高」を全部合計して、住宅ローンを比較します。
「金利タイプ・金利」が同じでも、金融期間が異なれば、借入費用が安くなり、総支払額が変わることがあります。
このように金利だけなく、トータルでの損得勘定して判断しましょう。
まとめ
今回は『住宅ローンの資金計画・返済計画で考慮すべき「3つのインプット」「3つのアウトプット」を説明した上で、「3つの判断基準」』について解説しました。住宅ローンの資金計画・返済計画も大切ですが、「金利タイプ(変動金利・固定金利)」を理解することも大切です。
以下の記事では『「変動金利」を選択する際に、事前に知っておくべきこと』について解説していますので、こちらの記事も是非とも併せて読んでみてください。
今回の内容をより詳しく知りたい人は下記の本をお読みください⬇️